知覚動詞とは、聞こえる(hear)・見る(see,watch)・感じる(feel)という知覚を表す動詞です。
文法書によっては感覚動詞(五感動詞)と一緒になっていることもありますが、使い方が少し違うため、ここでは分けています。
感覚動詞(taste,smell,feel,look,sound)の使い方は「例文で学ぶ感覚動詞完全攻略」の記事をこちらをご覧ください。
知覚動詞の意味と使い方
知覚動詞は「主語 + 知覚動詞 + 目的語 + 動詞の原形」の形が基本です。
I saw him get into a taxi.
→私は彼がタクシーに乗るのを見た
「I saw him / get into a taxi.」と区切り、「私は彼を見た、タクシーに乗るの」と考えると分かりやすいと思います。
I heard someone call my name.
→誰かが私の名前を呼ぶのが聞こえた。
I felt the house begin to shake.
→家が揺れ始めたのを感じた。
この「主語は目的語が~するのを知覚した」という形が知覚動詞の骨格になります。
注意点は、動詞の形が変わるとニュアンスも変わることです。
知覚動詞 + doing の意味
・知覚動詞 + 目的語 + 動詞の原形
→全部(一部始終)知覚している
・知覚動詞 + 目的語 + 動詞のing
→一部だけ知覚している
次は例文で比較してみます。
・I saw him wash his car.
・I saw him washing his car.
1つ目の文は「彼が車を洗うのを一部始終見た」のニュアンスを持ちます。
つまり、彼が車を洗い始めてから洗い終わるまで見ていたことを意味しています。
2つ目の文は「彼が車を洗っている所を見かけた」です。
日本語で比較すると、「~するのをずっと見ていた」と「~しているのを見かけた」のような違いがあります。
「彼がその通りを歩いているのを見かけた」の英訳
もう1つ例を上げると、「彼がその通りを歩いているのを見かけた」と言いたい場合。
英語では「I saw him walking down the street.」となります。
これを「I saw him walk down the street.」と言ってしまうと、彼が通りを歩いていくのをずっと見続けたようなニュアンスになります。
知覚動詞+ing は「一定時間続く行為の一部」
「知覚動詞+ing」の考え方は「一定時間続く行為の一部」です。
先ほどの例文「I saw him washing his car.」が「見かけた」になる理由は、「彼が一定時間車を洗っていて、その一部を見かけた」からです。
注意点は、一瞬の動作は動詞の原形で表すことです。
一瞬の動作の場合は動詞の原形を使う
・タクシーに乗る
・部屋に入る
・蹴る
・叩く
・滑る
などのような、比較的すぐに終わる動作の場合は動詞の原形が使われる傾向にあります。
考え方としては、短い動作は基本的に全部見ることが多いからです。
最初の例文「I saw him get into a taxi.」も、タクシーに乗る行為は一瞬なので、動詞の原形で表しています。
次は「蹴る」で比較してみます。
・I saw him kick a soccer ball.
・I saw him kicking a soccer ball.
1つ目の文は「彼がサッカーボールを(1度)蹴るのを見た」。
2つ目の文は「彼がサッカーボールを(繰り返し)蹴っているのを見た」。
このように、短い行為を「動詞のing」にすると「何度も」のニュアンスを持ちます。
「heard someone call」と「heard someone calling」の違い
先ほどの例文「I heard someone call my name.」は「誰かが私の名前を(1度)呼ぶのが聞こえた」になります。
名前を呼ぶのは一瞬なので、短い行為に当たります。
これを「I heard someone calling my name.」にすると「誰かが私の名前を(何度か)呼ぶのが聞こえた」となります。
名前を呼ぶという短い行為が一定時間続いていたイメージです。
知覚動詞+過去分詞の意味
I heard my name called from behind.
→私は後ろから名前を呼ばれるのが聞こえた。
このように、「~されるのが知覚された」という場合には過去分詞が入ることもあります。
また、進行形「~されている」の場合は「being + 過去分詞」になります。
I saw a new park being built next to the city hall.
→新しい公園が市役所の隣に造られているのを見かけたよ。
(引用:ALL IN ONE basic p148)
知覚動詞の受動態の作り方
他にも、知覚動詞を受動態として使うこともあります。
例えば、「I saw a man enter the room.(男が部屋に入るのを見た)」という文。
これを「a man」を主語にした受動態にするとこうなります。
A man was seen to enter the room.
→男は部屋に入るのを見られた。
The defendant was seen to run away from the scene.
→被告はその現場から走り去るところを目撃されていた。
They will never be heard to sing together again.
→彼らが共に歌う声が(人々によって)聞かれることはもう二度とない。
(引用:ENGLISH EX p66)
受動態は「be 知覚動詞の過去分詞 to do」の形になり、toが出現するので注意が必要です。
ただし、現在分詞の場合は「be 知覚動詞の過去分詞 doing」の形になります。
I didn't want to be seen talking to them.
→私は彼らと話をしているところを人に見られたくなかった。
(引用:ENGLISH EX p62)
これは「see me talking to them」を受動態にした形です。
注意点は、「watch」は基本的に受動態では使われないことです。
知覚動詞の例文
I saw a boy running in the park.
→公園で走っている男の子を見かけた。
She was seen to get into a taxi.
→彼女はタクシーに乗るところを見られた。
I saw my dad fall down.
→父がコケるのを見た。
I heard my cell phone ring.
→携帯電話が鳴るのが聞こえた。
I heard them fighting.
→彼らが喧嘩しているのが聞こえた。
I felt the house shaking.
→家が揺れるのを感じた。
I watched him dance.
→彼が踊るのを見た。
※see よりも意識的にジッと見るイメージ
I watched my kids swimming in the pool.
→子供たちがプールで泳いでいるのを見ていた。
I listened to my mom play the piano.
→母やビアノを引くのを聞いた。
※ listen to も知覚動詞として使うことが可能
まとめ
・「主語 + 知覚動詞 + 目的語 + 動詞」のが基本形
・知覚動詞+動詞の原形は一部始終
・知覚動詞+ingは行為の一部
・知覚動詞+ing は「一定時間続く行為の一部」のイメージ
・短い行為の場合は動詞の原形
・短い行為をingで表すと「繰り返し」になります。
・知覚動詞+過去分詞は「~されるのを知覚した」
・「~されている」は「being +過去分詞」
・受動態は「be seen to do」の形が基本
・「watch」は受動態では基本的に使わない
知覚動詞「hear」と「hear +that節」の違いはこちらをご覧ください。
→「hear that SV」と知覚動詞「hear +O +do」の違い。分詞が使われる場合とは?