「賽は投げられた」を英語で言うと?
ユリウス・カエサルが言ったとされる有名なセリフ「賽は投げられた」。
これを英語では「The die is cast.」と言います。
「die」は「サイコロ」という意味の名詞「dice(ダイス)」の古い使い方です。
元々は「die=単数形」、「dice=複数形」という用法でした。
しかし、今では「dice=単数・複数の両方」を表します。
そのため、「サイコロ」と言う場合、「The die is cast」という成句以外は「dice」を使うのが通例となっています。
「The die is cast」が現在形の理由
日本語だと、賽は「投げられた」と過去形です。
しかし、英語では現在形の「is」が使われています。
その理由は、現在形のbe動詞は「状態」を表すからです。
そこから、「賽が投げられた状態にある」ので現在形が使われています。
賽は投げられたという言葉の意味から、「事は進み始めたので、もう後退はできない状態にある」と考えると、イメージしやすいかもしれません。
そして、ラテン語から英語に翻訳された慣用表現という理由もあります。
ラテン語の「The die is cast(賽は投げられた)」と出典
「The die is cast」の元ネタはスエトニウスの著したローマ皇帝伝のカエサル伝にあります。
原文は古典ラテン語「iacta alea est」です。
しかし、現在では「alea iacta est」の形で引用されることが多く、原文とは語順が異なっています(が意味は同じ)。
発音をカタカナで表すなら「アレア ヤクタ エストゥ」になります。
Show must go on の意味
似た言葉に「Show must go on.」があります。
直訳だと「ショーは続けなければならない」です。
もともと演劇界で使われていた言葉で、「いったん舞台の幕が上がったら、最後までやり遂げなければならない」という意味になります。
「部隊や芝居などのパフォーマンスは、どんな困難な状況でも続けなければならない」という考え方から来ています。
Show must go on と The die is cast の違い
「The die is cast.(賽は投げられた)」には「決定や決断を下したので、もう戻ることはできない」というニュアンスがあります。
一方、「Show must go on」は「困難や問題が起こっても、続けなければならない」というニュアンスです。
言葉としては似ていますが、ニュアンスは若干異なるので注意が必要です。