「THE DUO 英語 x 論理的思考力」はDUOシリーズの英文法書です。
早速購入したので、THE DUOの解説を引用しながら、その特徴を見ていこうと思います。
まず、本書の特徴は「英米の人々の合理的、論理的な見方・考え方を理解する」ことです。
そして、
「イギリス・アメリカの人々の〈合理的で論理的な見方・考え方〉を理解する本」と 「総合英文法書」を1冊に融合させました。
この工夫によって、海外留学をしなくても、ネイティヴや帰国子女と同じように〈英語を英語のまま捉える「本物の英語力(=合理的・論理的思考を伴った英語力)」〉を、 短期間で確実に身に付けることができます。
(内容紹介より)
という、従来の英文法書とは全く異なるアプローチを取っています。
注意点は、文法をマスターする本ではなく、英語や文法に対する考え方の本です。
DUO3.0とDUO select についてはこちらをご覧ください。
→DUO select と DUO3.0 の違いと比較。使い方やおすすめしたい人とは
「THE DUO 英語 x 論理的思考力」の特徴
THE DUO の特徴、そして従来の英文法書との違いはいくつかあります。
・英語を英語で理解する
・英文法を学ぶ理由はただ1つ
・独自の構成
・本書の達成目標とは
・全てがコンパクト
・イラストが多数
・イメージ学習
・文法書のレベル的には脱初心者向け
英語を英語で理解する
英語を英語で理解するとはどういうことかというと、英米の人々の見方・考え方の理解です。
つまり、日本人の感覚を含んだ英語学習をするのではなく、英米人の思考や英語本来のニュアンスから英語を理解することです。
この違いは文化の違いでもあり、その言葉を話す国の文化を学ぶことでもあります。
英米人の文化を学びながら英文法を学ぶ事で本物の英語力を身に付ける、というのが本書の特徴であり、従来の英文法書と大きく異なる点です。
英文法を学ぶ理由はただ1つ
英文法を学ぶ理由はただ1つ、「主旨が明解な文を作るため」(p9より)。
本書は、「主旨が明解な文の組み立て方」をメインに、「時制」「名詞の精度」という3本柱で英文法を再構成しています。
※この構成は後述します。
THE DUO の構成
従来の英文法書は、主語動詞とは・SVOとは何か、過去・現在・未来の違い、受け身とは、など細かい説明から学びます。
THE DUOでは、これまで述べてきたような、英米の人々の見方・考え方を理解するところから始まります。
これはSTEP0に当たります。
英文法や英単語の暗記よりも先に、「英米の人々の合理的、論理的な見方・考え方を理解する」ことで、英語の学習効率と理解度が劇的に上がります。
STEP1は、「主旨が明解な文の組み立て方」
1「自分が主体」であるということを自覚する
2「主旨の文」と「補足」をはっきり分ける
このたった2つのことを意識するだけで、英語の文はとても簡単に組み立てられます。
STEP2は、「時制に敏感になる」
1本の時間軸の上で〈過去 - 現在 - 未来〉を捉えることで、英語の時制は明解に。
STEP3は、「名詞の精度にこだわる」
主旨が明確な文を組み立てるには「AはBである」などの構造だけではなく、その構成要素A,B(単語)の精度も同じくらい重要です。
(引用:p10)
このように、STEP0を土台に、3つのSTEPで構成されています。
そして、それを踏まえつつ、大きく分けて6つの単元+付録に分かれています。
※()内は従来の英文法書の範囲
・英米の考え方
・主旨の文(自・他動詞、目的語、補語、文型、不定詞、動名詞、分詞、使役、付帯)
・主旨の文+補足(5W1H、前置詞、接続詞)
・否定文、疑問文、命令文、強調文
・時制
・名詞の精度(名詞の表現法の理解、冠詞、可算・不可算名詞、複数、量・数など)
・付録
これだけでも、今までの英文法書とは異なる点が多く、そこが「全く新しい形の英文法書」の由来でもあります。
また、本書は段階を踏んでいくため、最初は通読が基本になります。
達成目標
達成目標は、
「英語を英語のまま主旨が明解な文を組み立て、理解できるようにすること(p12より)」
にあります。
主旨が明解な文とは、「主旨の文」と「補足」が明確に分けられ、「時制」が正確で、「名詞」の描写精度が高いことです(p12より)。
※「」内の意味は上記の6つの単元をご参照下さい。
それができるようになれば、会話・ドラマのセリフ・歌詞などの文法構成が不完全な「口語の英語」にも強くなります(p14より)。
見た目も中身もコンパクト
従来の英文法書(総合英語)は600ページほどあります。
一方、THE DUOは400ページと、非常にコンパクトです。
また、中身の文法用語の削減も行われています。
本書は、必要最低限の既存の文法用語と、英語での本来の意味が伝わりやすいよう再定義した本書独自の文法用語が使われています。
そのため、本自体もコンパクトですが、内容自体もコンパクトになっています。
最低限の文法解説がなされているので、従来のような英文法書を想像していると、少し驚くかもしれません。
イラストが多数
英文法書というと、文字ばかりのイメージがあります。
一方、THE DUOは、イラストが数多く使われており、その捕捉として文字で説明しています。
それには、
「ヴィジュアルで捉えることでネイティヴや帰国子女と同じように英語を英語のまま捉える感覚が身に付きます(p9より)」
という理由があります。
イラスト+文字で構成されている所から、パワーポイントと表現している方もいました。
そのため、通読するだけなら、他の英文法書よりも比較的に簡単にできます。
イメージ学習の賛否とおすすめであるか
本書はイラストが多く、どちらかというと、英語本来のニュアンスを絵にしたイメージ学習に近い本です。
よって、イラスト+文字によるイメージ学習の方が頭に入りやすいという方や、慣れている方には合うと思います。
しかし、イメージよりも、詳しい解説や沢山の例文で説明された方が分かりやすいという方には、合わないかもしれません。
また、内容がシンプルゆえ、細かい説明が欲しい方にとっては、物足りないかもしれません。
これまで見てきたような本書の特徴を備える本は貴重なため、個人的には一読するのをおすすめなのですが、使い手を選ぶ本とも言えると思います。
そもそも初心者向けではない
(後述しますが)完全な初心者向けではありません。
ある程度の文法基礎が頭に入っていないと、イメージ画像や内容の説明がピンと来ない可能性があります。
この辺も含めて、この手の本が合う合わない、そしてこれまで学んできた個人の学習内容などにより、レビューや口コミなどでも賛否両論出てくると思います。
これは「全く新しい形の英文法書」の体裁を取っているため、仕方がない点でもあります。
もし評価や評判が良ければ、このような形式(考え方)がスタンダードの1つになる可能性もあります。
THE DUO のレベルは脱初心者や学び直したい方向け
本書は完全な初心者向きではありません。
少なくとも中学英語レベルの文法の知識がないと、本書の内容をきちんと捉えるのが難しいと思います。
よって、文法の基礎の上に、もう1段上乗せすると考えるのが良いと思います。
言い換えると、総合英語の基礎文法の根っこの部分の理解を深めるです。
そのため、ある程度の基礎がある人の方が理解しやすいはずです。
そして、
・THE DUO の中身(コンセプト)に興味がある
・英語という言語に興味がある
・基礎的な文法にネイティブ視点から踏み込みたい
・もう1度、別な角度から英文法を勉強したい
・以前英語を勉強していたけど、久々に学び直そうかな
という方は本書を手に取ってみても良いと思います。
以上のことから、THE DUO から英語の勉強を始めるのは、難易度が高めです。
また、英語学習ではなく学業という点においては、THE DUO は総合英語と大きく異なるため、学校の授業や受験とリンクし難いのは確かです。
しかし、総合英語の補助教材として、英語という言語の理解を深める使い方ができます。
そのため、本書のターゲットは受験生というより、英語という言語の学習者です。
これから英語学習を始める場合、まずは以前紹介した「基本にカエル英語の本 英文法入門」や総合英語で文法を学ぶのが最適だと思います。
→【超初心者向け】英語の勉強をゼロから始める場合は何からやるべき?
THE DUO の勉強法
THE DUO を使った勉強の方法は、丸暗記ではなく、本書の内容を熟読し理解することです。
サブタイトルでも「英語 x 論理的思考力」 と強調しています。
しかし、イメージ画像の場合は映像として覚えた方が頭に残ります。
もちろん全てを記憶するのではなく、日本語的にイメージが掴みにく単語、その単語の持つ本来のニュアンスや使い方を重点的に覚えていきます。
理解する部分と覚えるべき部分を上手く使い分けるのがコツでもあります。
そして、本書のコンセプト(構成や達成目標など)を理解(意識)しながら学習することで、本書の利点を最大限に発揮できます。
まとめ
・最初に英米人の考え方(文化や本来のニュアンス)を学ぶ事により、英語を英語のまま理解するというアプローチ
・イラスト+説明文で構成されたシンプルな英文法書
・イメージ学習により好みが分かれる可能性
・英語の考え方の本
・本のコンセプトを理解して読む
・使い方は暗記ではなく理解
・脱初心者、やり直し、ネイティブの感覚に踏み込みたい方向け(基礎を踏まえた上で英語の理解を深める)
・受験生向けというよりも英語という言語を学びたい方向け