英語の「want」の基本的な意味は「~を欲する」です。
そこから、「want to(~することを欲する = したい)」や「want 人 to(人に~して欲しい)」という用法が生まれます。
そして、よく間違われるのは「want」の品詞は動詞という点です。
動詞なので、過去形・過去分詞は「wanted」、否定形は「don't want」の形になります。
また、それ以外にも、よく使われる形があります。
・Do you want to ~?(提案・依頼)
・want A 過去分詞
・want 人 +動詞のing
・want A 形容詞
・want +副詞
・want 人 副詞
・I've been wanting
この記事では、以上の使い方を例文と共に見ていきます。
- want の意味と使い方
- want to の意味と使い方
- 言い換えは「would like」と「would like to」
- Do you want to の3つの意味
- 「want 人 to」の意味
- 「want A 過去分詞」の意味
- 「want 人 +動詞のing」の意味と使い方
- 「want A 形容詞」の意味と使い方
- 「want +副詞」の意味
- want 人 副詞
- I've been wanting の意味
- 動名詞の意味上の主語「人 wanting」
- 用法のまとめ
want の意味と使い方
「want」の後ろに名詞を置くことで「~が欲しい」や「~を望む」となります。
具体的な「物」以外にも、平和などの「目に見えないもの」を置くことができます。
I want a new laptop.
→新しいノートPCが欲しい。
I wanted the guitar.
→そのギターが欲しかった。
She wants a new car.
→彼女は新しい車を欲しがっている。
They want peace and stability.
→彼らは安定と平和を望んでいる。
What do you want for your birthday?
→誕生日に何が欲しい?
「~が必要」の意味でも使われる
「~が欲しい」の意味から、「~が必要」のニュアンスでも使われます。
We want more volunteers for the concert.
→そのコンサートのためにもっとボランティアが必要です。
I want some time to spend with my family.
→家族と過ごすための時間が必要です。
ただ、日本語的には「もっとボランティアが欲しい」や「時間が欲しい」と考えても、意味的には実質同じです。
want to の意味と使い方
「want to」の後ろには動詞の原形が入り、「~したい」となります。
直訳だと「~することを望む」です。
会話では「wanna(ワナ)」と短縮されがちです。
I want to go shopping.
→買い物の行きたいです。
I want to know more about you.
→あなたのことをもっと知りたいです。
I want to travel to Japan someday.
→いつか日本に旅行に行きたいです。
I wanted to buy a new one.
→新しい奴が欲しかった。
否定形は「don't want to」
逆に「~したくない」は「don't want to」となります。
先述のように、「want は動詞」なので「don't want」の形です。
I don't want to work anymore.
→もう働きたくない。
I don't want to talk about it.
→それについては話したくない。
I don't want to regret it.
→(それによって)後悔したくないです。
I didn't want to go out today.
→今日は外出したくなかった。
言い換えは「would like」と「would like to」
「want」は「would like」、「want to」は「would like to」に言い換えることができます。
それらの違いは、「would like」と「would like to」の方が丁寧という点にあります。
I'd like a cup of coffee, please.
→コーヒーをお願いします。
I'd like to visit Italy next year.
→来年イタリアを訪れたいです。
他にも「是非そうしたい」というニュアンスを持つ「would love to」があります。
Do you want to の3つの意味
「Do you want to ~?」には「~したい?」だけではなく、「~しない?」と「~してくれない?」という意味もあります。
・「~したい?」という直訳的な意味
・「~しない?」という提案や誘い
・「~してくれない?」という依頼
「~したい?」
What do you want to eat?
→何を食べたい?
このような「~したい?」が基本的な意味で、その単語通りの意味になります。
提案や誘い
提案や誘いの使い方で一番有名なのは「Do you want to build a snowman?」だと思います。
これはディズニー映画『アナと雪の女王』の「雪だるまつくろう」という曲に出てくる歌詞です。
つまり、「Do you want to build a snowman?」は「一緒に雪だるまを作らない?」というお誘いをしています。
依頼の意味と使い方の注意点
Do you want to wash the dishes?
→お皿を洗ってくれない?
これは文字通り日本語の「お皿を洗ってくれない?」と同じ言い方です。
この「~してくれない?」は、命令や「そうすべき」の意味合いが少し含まれています。
親子や仲が良い人同士なら良いですが、あまり親しくない人に対しては威圧的になります。
そのため、普通にお願いする場合は「Could you ~? / Would you ~?」などの方が適切です。
ただし、「私は洗濯をするからお皿を洗ってくれない?」のような文だと「Do you want to」は自然です。
これも日本語と同じで、相手にだけ「~してくれない?」と言うのは押し付けがましいですが、「私はこれをやるから、あなたはそっちをやってくれない?」のように条件的に五分になると自然になります。
使い分けは文脈や状況次第
以上の意味は、文脈や状況によって判断することになります。
例えば、「Do you want to go to the movies tonight?」という文は、これだけ見ると非常に曖昧です。
その時の状況によって、「今夜映画に行きたいの?」なのか「今夜映画に行かない?」なのかが変わります。
しかし、「Do you want to go to the movies with me?」なら「私と一緒に映画に行かない?」と考えることができます。
以上のような違いを瞬時に理解するには、意味だけではなく経験を積むことが必要になってきます。
「want 人 to」の意味
「want 人 to +動詞の原形」の形で「(人)に~して欲しい」となります。
I want you to go there.
→あなたにそこに行って欲しい。
I want you to help me.
→手伝って欲しいです。
I want you to help me move this couch.
→ソファーを動かすのを手伝ってほしいです。
I want you to call me when you arrive.
→着いたら私に電話して欲しいです。
I don't want you to do it.
→それをやって欲しくないです。
「Do you want me to」の意味
「Do you want me to ~?」は「(私が)~しましょうか」という意味のフレーズです。
Do you want me to help?
→手伝いましょうか?
Do you want me to make dinner?
→夕食を作りましょうか?
より詳しくは「「Do you want me to ~?」の意味と注意すべき発音。「want to」の使い方に注意!」の記事をご覧ください。
「want A 過去分詞」の意味
「want A 過去分詞」の形で「Aを~されるようにして欲しい」になり、簡単に言うと「Aを~して欲しい」となります。
Do you need it fixed now?
Yes, I want it done right away.
↓
今すぐ修理する必要はありますか?
ええ、今すぐしてもらいたいわ。
(引用:ALL IN ONE Basic Ver.2 p154)
「need it fixed」と「want it done」は同じ使い方です。
直訳だと「それは修理される必要がある」と「それ(修理)をしてもらいたい」。
または、「それは必要、修理されるのを」と、「それ(修理)を望む、行われるのを」とも考えられます。
Aは物などが入る
この使い方の場合、Aには人ではなく物などが入ります。
I want my phone fixed today.
→今日、電話を修理して欲しい。
She wants the house cleaned before the guests arrive.
→彼女はゲストが到着する前に家を掃除して欲しい(と思っている)。
They want the project completed on time.
→彼らは時間通りにプロジェクトを完了して欲しい(と思っている)。
「want 人 +動詞のing」の意味と使い方
「want 人 doing」の意味は「(人)に~していて欲しい」です。
これは現在進行中の行為や行動に言及しているニュアンスを持ちます。
また、否定文で使われることも多いです。
I don't want you sitting here.
→ここに座って欲しくないです。
I don't want anyone doing it.
→誰にもそれをやって欲しくない。
(引用:ウィズダム英和辞典 第四版)
FF7の例文
Leave them to me.
I want you and your people tracking the robes.
「それは私に任せてくれ。あなたとあなたの部下にはローブ(を着た人たち)を追跡していて欲しい」
「want A 形容詞」の意味と使い方
「want A 形容詞」の形で「Aが(形容詞)であって欲しい」となります。
Aには人称代名詞や固有名詞が入ります。
I just want her happy.
→ただ彼女には幸せであって欲しい。
I don't want him involved.
→彼にはかかわって欲しくない.
(引用:ウィズダム英和辞典 第四版)
Do you know who wanted my father dead?
→父の殺しを依頼した人は?(日本語字幕)
(引用:映画『ポーラー 狙われた暗殺者』)
「want +副詞」の意味
「want」の後ろに「up / in / out」などの副詞が置かれることがあります。
She wants up on my lap.
→彼女(猫)は私の膝の上に乗りたがります。
ここでは「want up」になっており、「on my lap(膝の上に)+「want up( up することを望む」。
つまり、膝の上に乗ることを意味します。
You want up?
→上に行きたいのか?
(引用:映画『ヴェノム』)
ヴェノムが主人公に言ったセリフで、「ヴェノムの力で物理的に上に飛びたいのか?」というニュアンスです。
The dog wants in on the pic.
→犬が写真に写りたがっている。
「want in」は「(中に)入ることを望む」です。
「want in on」の形になると「~に参加する」の意味でも使われます。
そこから、「want in on the action」で「(活動などに)参加する」という1つのフレーズでも使われます。
The cat wants out.
→猫は(外に)出たがっている。
「want out」で「out することを望む」で、要は「外に出たい」ことを意味します。
FF7REBIRTHの例文
If you want up, you'll have to use those stairs!
直訳
「もし上に行きたいなら、その階段を使わなければならないだろう」
want 人 副詞
I want you out of this house.
→この家から出ていって(日本語字幕)
(引用:Netflixドラマ『ザ・ウォッチャー』 エピソード4)
このように、「want 人」の後に「out of this house(この家から出る)」が続くパターンも可能です。
語順通りに訳すと「私はあなたに望む、この家から出ることを」となります。
次の例文も同じです。
I want them in my office tomorrow.
→明日、2人を署に呼べ。(日本語字幕)
(引用:Netflixドラマ『エイリアニスト』エピソード1)
これは「明日、彼らに私のオフィスに来てもらいたい」となります。
I've been wanting の意味
「want」は現在進行形では使われませんが、現在完了進行形では「wanting」の形で使うことが可能です。
そして、現在完了進行形で「最近ずっと」のニュアンスを出すことができます。
・I've been wanting → 最近ずっと~が欲しい(と思っている)
・I've been wanting to → 最近ずっと~したい(と思っている)
「want は進行形では使わない」と言われることがありますが、それは状態動詞としての話で、完了形では進行形でも使われます。
I've been wanting a new bed.
→最近、新しいベッドが欲しい(と思っている)。
I've been wanting a new couch for a while.
→ここしばらく新しいソファーが欲しいと思っています。
I‘ve been wanting to see it.
→ずっとそれを見たかった。
I’ve been wanting to break up.
→最近ずっと別れたいと思っています。
I’ve been wanting to go hiking.
→ずっとハイキングに行きたいと思っています。
I've been wanting to と I've always wanted to の違い
似た表現に「I've always wanted to」があります。
こちらは「昔からずっとしようと思っていた」で、「ここ最近」のニュアンスはありません。
「I've been wanting to」と類似のフレーズ「I've been meaning to」と合わせて「英語で「ずっと~しようと思っていた」は「I've been meaning to」。「I've always wanted to」との違いは?」の記事もご覧ください。
動名詞の意味上の主語「人 wanting」
動名詞の意味上の主語として「wanting」になる場合もあります。
Look, let's talk about you wanting to buy this place.
ここを買うって話だが――
「let's talk about(~について話そう)」に「you wanting to buy("あなたが" 買いたい)」が続いています。
直訳だと「いいか、あなたがこの場所を買いたいということについて話そう」となります。
この用法に関しては「動名詞の意味上の主語を例文で分かりやすく解説」の記事をご覧ください。
用法のまとめ
・「want」の基本的な意味は「~を欲する」
・「want +名詞」は「~が欲しい」で、「~が必要」のニュアンスにもなる
・丁寧なのは「would like」
・「want to」は「~したい」
・否定形は「don't want to」
・丁寧なのは「would like to」
・「want 人 to +動詞の原形」は「(人)に~して欲しい」
・「want 人 動詞のing」は否定形で使われることが多く、現在やっている行為や行動を指す
・「Do you want me to ~?(私が~しましょうか)」は1つの決まったフレーズ
・「want A 過去分詞」で「Aを~して欲しい」
・Aには人ではなく物などが入る
・「want A 形容詞」は「Aが(形容詞)であって欲しい」
・Aには人や固有名詞が入る
・「want + up / in / out」などの副詞と組むことで「副詞の状態を望む」になる
・I've been wanting → 最近ずっと~が欲しい(と思っている)
・I've been wanting to → 最近ずっと~したい(と思っている)
・I've always wanted to → 前々からずっとしたかった
「want」は現在進行形にはなりませんが、完了進行形や動名詞の意味上の主語などで使われる場合には「wanting」の形になります。