英語を学ぶ上で、文法の学習は重要です。
と言われますが、なぜ重要なのか、なぜ必要なのか、何の役に立つのか。
それとは逆に、英文法不要論も見かけることがあります。
この記事では、それらの答えのヒントになる「文法とは何か」について話をしていこうと思います。
文法とは何かが分かれば、その重要性と学ぶメリットも分かるからです。
文法とは何か
文法とは「言語のルール(法則)」です。
そのルールを知り、そのルール通りに解釈することにより、正しく意味を理解したり、使うことができるようになります。
また、「なぜ単語がこのような順番で並んでいるのか分かる = 文法が分かっている」とも言えます。
ちなみに「語法」は単語の使い方のルールを意味します。
英語学習においての文法の意義
言語学習という点では、
「非ネイティブがその言語を学びやすくするための公式」
でもあります。
SVOやSVOC、現在形、助動詞、形容詞、受け身、句動詞などの用語は、言語のルールを体系化したものです。
これは学ぶ側だけではなく、教える側にも1つずつ順序立てて教えられるというメリットがあります。
学習者同士の共通認識にもなります。
英文法を学ぶのはメリットだらけ
文法はその言語の基本的なルール(法則)であり、英語は単語を正しく並べる必要のある言語です。
ハッキリ言うと、文法を学ばずに英語を学ぶことはできません。
言い換えると、英文法は英語学習の土台です。
土台があるからこそ、その上に家が建ち、土台がしっかりしているほど強固になります。
そんな英語の土台である英文法は、リーディング、ライティング、スピーキング、リスニングなど全てに必要です。
そのため、英語学習初期にきちんと文法を学ぶことが、今後の英語学習において効率的になってきます。
文法が分からないとその他の学習が非効率になる
単語帳やフレーズ集などには、詳しい文法の解説が無いことがほとんどです。
そのため、何故この文はこうなるのか、何故これが間違いなのか、何故このような意味になるのかなど、必ず分からないものが出てきます。
しかし、文法が頭にあれば理解でき、仮に分からなくてもピンポイントで調べることが可能です。
文法を意識することで学習が効率的になる
単語の暗記、長文読解、リスニング、英作文など何においても、文法を意識するかしないかで、英語に対する理解が大きく変わってくることになります。
文法を意識しながら英語に触れ続けていると、そのうち文法を無意識化(文法を意識せず英語を英語のまま理解)できるようになります。
そのレベルに到達したら、その文法はマスターしたと言えます。
ただし、文法学習に即効性はあまりありません。
ランニングによるスタミナ強化や体幹トレーニングのように、ジワジワと効いてきたり、積み重ねる系のトレーニングのイメージです。
英文法はプラモデルの説明書
もう1つ例を挙げると、文法はプラモデルの説明書です。
プラモデルの箱を開けると、パーツが入っています。
そのパーツを見ただけで、どれがどの部分になるのかは、組み立てなくても大まかな見当が付きます。
何なら、説明書を見ずに組み立てることもできます。
それと同じように、英文を見ただけで、単語の意味から大まかな文章の意味を理解できます。
文法を知らなくても、単語を見ただけで文章の意味が取れるとも言えます。
しかし、複雑になれば話は変わってきます。
「これはこうだろう」とパーツを組み立てた結果、実は順番が違っていて、他のパーツと組み合わせられなくなった、という可能性もあります。
プラモデルが複雑になればなるほど、説明書通りに組み立てる必要が出てきます。
そして何より、説明書通りに組み立てれば間違いがありません。
それと同じように、英語も文の構造が複雑になればなるほど、文法通りに理解する必要があり、その知識が必要になってきます。
そして、それが正しく英語を理解&発信することにもなります。
文法通り=自然な文章とは限らない
ただし、注意点もあります。
特に英作文やスピーキングにおいてですが、
「文法通りに単語を当てはめる=それが自然な英文になるとは限らない」
ということです。
一見、文法上は正しく見えても、言い回しとしては不自然になることがあります。
それに、同じような意味を持つ単語でも、それぞれニュアンスが異なることが多々あります。
フォーマル・インフォーマル、口語・書き言葉の違いもあり、もしそれらが混在していたら、やはり不自然な文章になります。
単語には「使われ方」がある
単語には「使われ方」というものがあります。
それに加え、自然な使い方や特定の使い方、決まり文句が存在します。
例えば、「この映画を見たことがある」という日本語は普通です。
しかし、「この映画を読んだことがある」とは言いません。
「映画」と「見る」は1つのセットですが、「映画」と「読む」の組み合わせは不自然です。
が、もしこれが
「この映画の原作を読んだことがある」
「この映画の小説版を読んだことがある」
なら意味は通じるようになります。
このように、自然な組み合わせや、何かを付け足すことにより自然になる使われ方があります。
また、
「予約を・・・」
と来たら、
「する(した)」
「キャンセルした」
など。
「ボールを・・・」
と来たら
「投げる」
「打つ」
など。
ある言葉を聞けば、その後に続く言葉はある程度の予想ができます。
そのような、語と語の自然な繋がりがあります。
これをコロケーションと言います。
これは「映画」「読む」「予約」などの単語の丸暗記や、「~したことがある(経験)」という文法丸暗記では学ぶことができません。
実際にそれらが使われている文章の流れの中で意味を取るのが大事になってきます。
そして、単語と単語の自然な繋がりや、自然な文章を頭に入れていきます。
このブログで、例文や英文の中に単語が複数入っている形式の単語帳や、例文の多い文法書をおすすめしているのには、そのような理由もあります。
ネイティブは文法を学ばないのは本当?
たまに、
「ネイティブは文法を学ばないから、文法を学ぶ必要がない」
「日常会話では英文法書通りに話さないから、文法は必要ない」
などという文言を見かけることがあります。
しかし、実はネイティブも文法を学びます。
イメージとしては、日本人が国語の授業で正しい言葉を学ぶのに近いです。
更に非英語圏出身の人も、日本人と同じように机に向っての文法学習が基本のプログラムになっています。
言語に対するアプローチの仕方が違う
ネイティブと非ネイティブでは言語に対するアプローチの仕方が少し異なります。
例えば、日本人は学校で国語を習います。
しかし、日本語の文法や正しい言葉遣いを学んだから日本語を話せるようになったわけではありません。
話せるようになってから国語を学びます。
逆に日本人が英語を学ぶ場合、文法を学んでから話せるようになります。
つまり、子供の頃から話せるネイティブと、成長してから学ぶ非ネイティブでは、言語習得のアプローチが違います。
文法は新言語習得に必要なもの
学習における文法は「大人になってから新しい言語を学ぶために必要なもの」とも言えます。
そして何より、1つ目の言語(母語)を習得するのと、1つの言語を習得した上で別な言語(第二言語)を学ぶのとでは、手順が異なるのは先述の通りです。
これは学校で古文を学ぶのにも似ています。
現在、古語で話している人はまず居ないので、古文は成長してから学ぶ新しい種類の言語と言えます。
だからこそ、未歴史的仮名遣い、然形や連体形などから学ぶことになります。
その方が学びやすく、教えやすいからです。
まとめ
・文法とはルール(法則)
・文法は言語の土台
・最初に英文法を学ぶと効率的
・英文法を学ぶことで正しく英語を理解できる
・文章で単語を学ぶメリット(コロケーション)
・ネイティブと非ネイティブは言語学習のアプローチが異なる
文法の勉強法はこちらをご覧ください。
→英文法の効率的な勉強法と短期間でマスターする方法|「英文法を終わらせる」とは何か