シャドーイングとは、英語の音声を聞くと同時に、聞こえた通りに真似(復唱)して発音する英語学習方法です。
影(シャドウ / shadow)のように、聞こえた音を追って行くところからこの名前が付いています。
この勉強法を行うことにより、リスニングとスピーキングの両方に効果が及びます。
しかし、効果的なシャドーイングの正しいやり方や目的を意識しないと、効果が薄れてしまいます。
そして、間違いやすいポイントである「前準備が必要」という点も詳しく解説します。
・シャドーイングの目的
・正しいシャドーイングのやり方
・効果的なシャドーイングとは
・シャドーイングができない時にすること
・シャドーイングにおススメの教材
- シャドーイングの目的
- 正しいシャドーイングのやり方(第一段階)
- ジャド―イングができない時
- 正しいシャドーイングのやり方(第二段階)
- シャドーイングの教材(超初心者~初心者)
- シャドーイングの教材(中級者~)
- シャドーイングの要点まとめ
シャドーイングの目的
まず、何のためにシャドーイングをするのかという話から始めます。
何故なら、目的を明確をすることが非常に大切だからです。
では、シャドーイングをする目的は何かというと、2つあります。
聞こえない音を聞こえるようにすることと、スピーキングのレベルまで落とし込むことです。
正しいシャドーイングのやり方(第一段階)
最初から音声を流すのではなく、文章の意味を理解する前準備があります。
意味をきちんと理解してからシャドーイングをする方が無駄がなく、総合的に能力が伸びます。
また、言葉の意味を理解していない文章をシャドーイングするのは日本語でも大変です。
それと同じで、英文の意味を理解しながらシャドーイングをすることで効果が増し、その後のスピーキング能力の向上にも活きてきます。
・文章の意味を理解する
↓
・文章を見ながら音声を聞いて、同じように発音してみる
↓
・最初は1文ずつ細かく切って真似る練習をする
↓
・できない部分を潰していく
↓
・通して言えるようにする
このような流れで行います。
文章の意味を理解した後は、英語の音声を真似ていきます。
その時、自分の思っていた発音やリズムと違う部分があると、途端につまづきます。
その部分を潰しながら、完璧にリスニングができ、なおかつ同じように言えるようにするのが正しいシャドーイングのやり方です。
正しく言えるようになると、聞こえなかった音も聞こえるようになり、リスニング力が上がります。
これが先述したシャドーイングの目的の1つであります。
イメージは歌の練習と同じ
コツは1文ずつ真似るのがポイントです。
これは歌の練習をする時をイメージするのが分かりやすいと思います。
歌えない部分がある時。
1フレーズずつ区切り、正しい音程やリズムのような細かい部分を確認し、最後に通して歌えるようにします。
それと同じで、最初は1文ずつ音声を真似して発音し、最後にシャドーイングできるようにするのがコツです。
ジャド―イングができない時
もし、なかなか英語が聞き取れなかったり、発音できない場合は、何ができていないかを知ることから始めます。
起こりがちなポイントは以下の3つです。
・正しい発音と脳内の音がズレている
・英語のリズムに乗れない
・音と音の繋がりが分からない
これらがあると、シャドーイングが難しくなります。
逆に言えばmこれらを克服すればいいのです。
正しい発音とのズレを修正
1つ目は音の認識のズレを修正することです。
実際の英語の発音を聞いたら、自分の思っていた発音やアクセントと全然違っていたことがあります。
特にカタカナ英語やカタカナ読みで起こりがちです。
この音のズレが英語を聞き取れない要因の1つになります。
実際の発音を聞きながら、同じように発音し、音の認識のズレを修正します。
英文のリズムを学ぶ
2つ目は英語のリズムを知ることです。
英語には英語のリズムがあります。
英語の文章を真似して口に出すことにより、英語特有のリズムを体にしみ込ませていきます。
カタカナ読みや何となくで英文を読んでいると、正しい英語のリズムが身に付きません。
その結果、リスニングをする際に、英語の速さに付いていけなくなります。
きちんと文章を言えるようになるには、その部分だけを何度も繰り返して真似します。
そうすると、少しずつ口が回るようになってきます。
もし口が回らなければ、鼻歌を歌うように、最初は音やリズムだけを真似することに集中すると、だんだん慣れてくると思います。
最初は短い文章から始めて、少しずつ長い文章に移っていきます。
英語本来のリズムに慣れることにより、リスニングしやすくなるだけではなく、スピーキングの際にも自然なリズムで文章を発音できるようになります。
息継ぎの場所も大事
息継ぎの場所も重要です。
長めの文章だと、どこで息継ぎすればいいのか分からなくなりがちです。
その英文を話している人がどこで文章を区切っているのかを意識してみると、楽に読むことができるようになります。
リンキングを学ぶ
3つ目はリンキングを学ぶことです。
リンキングとは、音と音の繋がりのことです。
その音の繋がりの法則を知っているのと知らないのでは、リスニングの難易度が大きく変わります。
詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
→英語のリスニングを上達させるためのポイントとコツ。重要なのは音の変化と文法の理解
正しいシャドーイングのやり方(第二段階)
第2段階は「使えるレベル」まで持って行きます。
最終目標はテキストを見ずに音声だけでのシャドーイングです。
音声だけでシャドーイングをするには、文章の意味の理解と正しい発音やリズムが必要です。
つまり、音声だけでシャドーイングができる = その文章は使えるレベルに落とし込めたことになります。
これをやると、アカペラで歌えるように、頭に英語の音が浮かんでくるようになります。
英単語帳に載っている例文の音声を何度も聞いていると、例文を見ただけで音声が頭に浮かんでくるのをイメージすると分かりやすいと思います。
アニメのセリフを完璧に言えるイメージでも同じです。
それがシャドーイング2つ目の目的です。
そこがシャドーイングの最終地点であり、リスニングとスピーキングができたと言えるレベルでもあります。
もし音声を聞いたときに「あれ、この単語って何だっけ」となったら、意味を理解する所に戻ります。
ただ、この第二段階はレベルが高めで、少し長い目で見る必要があります。
ネイティブの言葉をシャドーイングするのは上級者向け
よくあるのが、「ネイティブが話している言葉に続けてシャドーイングをする」と解説している場合です。
それはかなりの上級者です。
それを上級者以外がやろうとしても、意味が取れないどころか、口が回りません。
試しに日本のドラマやニュースの読み上げで試してみて下さい。
日本語ですらコピーするのが意外と難しく、集中力と労力が必要です。
それに、日本語と英語の発音は使う口の筋肉が異なるため、少しずつ口を慣らしていく必要があります。
シャドーイングの教材(超初心者~初心者)
シャドーイング初心者は簡単なものから始めます。
いつもおすすめしている初心者用教材は、速読速聴・英単語シリーズの Basic 2400 ver.3 です。
序盤のテキストはゆっくりの速度で、後半に行くにつれてネイティブスピードに近づいていきます。
これはリスニングだけではなく、シャドーイングの超入門としても最適です。
もし難しければ、瞬間英作文の短いフレーズを使います。
これはフレーズや単語を覚えつつシャドーイングできるので一石二鳥です。
おすすめ教材はこちらをご覧ください。
→初心者向け瞬間英作文のおすすめ教材「Jump-Start! 英語は39日でうまくなる!」【レビュー】
シャドーイングの教材(中級者~)
その後は、だんだんとレベルを上げていきます。
最初は子供向けの作品から始め、最後は洋画やドラマのようなリアルな英会話を目指します。
【子供向けの物語】
最初の段階は子供向けのアニメです。
youtube に「English Fairy Tales」というチャンネルがあります。
1つ10分前後の子供向け物語の動画で、英語字幕も付いています。
最初はこのレベルから始めます。
→English Fairy Tales - YouTube
このチャンネルでなくとも、似たようなレベルの動画なら何でもできます。
他には、英語字幕の出せる動画配信サービスと契約しているのであれば、そこで子供向けアニメを探してもいいと思います。
【一般的な英語教材】
次は一般的な英語学習教材です。
中でも、会話や英文形式の英単語帳やTOEICのテキストがおすすめです。
単語帳を使うことにより、曖昧だった単語をあぶり出すメリットもあります。
会話形式やTOEICのような少し長めの纏まった文章で練習してきます。
もし難しければ、TOEIC対策の金銀シリーズやDUOのような短い文章から始めます。
[関連記事]
・TOEIC初心者おすすめ参考書と勉強法。最初にやるべき対策とTOEIC用教材の選び方
・全レベルの人におすすめできる英単語帳集|例文・英文・会話形式で学ぶ
【TED Talks】
次は「TED Talks」のようなプレゼン動画です。
プレゼンは日常会話と比べ、ハッキリゆっくり話されます。
内容は多国籍かつ多岐に渡るジャンルで、動画の数も膨大です。
そのため、自分の興味のある分野でシャドーイングをすることが可能です。
動画は英語字幕が付けられ、再生速度も変えることができます。
【海外ドラマや洋画】
最終地点は海外ドラマや洋画の日常会話です。
このレベルをシャドーイングできるようになれば、怖いものなしです。
練習には好きな映画の公式Youtube でも、手持ちのDVDでも、何でも使えます。
また、今は定額料金で見放題の動画配信サービスも多くあり、財布的にも易しくなっています。
[関連記事]
【その他】
他には歌があります。
英語の歌を歌うには、正しい発音、リズム、リンキングを使わないと歌うことができません。
そのため、学べることは多いです。
ただし、歌と会話は少し異なることに留意します。
いずれのシャドーイング練習も、難しければ youtube や再生ソフトの機能で再生速度を落としてから始め、少しずつナチュラルスピードに近づけていくとやりやすくなります。
シャドーイングの要点まとめ
・シャドーイングの目的を意識する
・シャドーイングができない理由を知る
・できなかった部分を潰していく
・聞けるから使えるまでに落とし込む
・シャドーイングの練習は簡単な所から少しずつレベルを上げていく
・最終目標は海外ドラマや洋画のような普通の会話のシャドーイング
洋画や海外ドラマでの勉強法については、こちらをご覧ください。