『速読英単語(通称速単)』と『速読速聴・英単語』は、どちらもZ会から出版されているシリーズです。
どちらもオススメの英単語帳なのですが、対象としている人が異なります。
この記事では、その2シリーズの違いと比較、テキストの選び方、効果的な使い方を解説していきます。
- 速読英単語と速読速聴英単語の違い
- 速読英単語と速読速聴英単語の比較
- 高校受験と英語初心者は「速読英単語 中学版」
- 「速読速聴・英単語 Basic2400」は受験後を見据えた作り
- 大学受験や中級者以上は目標とレベルに合わせる
- 効果的な勉強法
- スピーキングを鍛える場合
- まとめ
速読英単語と速読速聴英単語の違い
結論から言うと、「速読英単語は受験生向け(高校~大学)」で、「速読速聴・英単語は英語という言語の能力を上げたい人向け」です。
・今後受験を控えている方は「速読英単語」
・英語をやり直したい方や、より実用的な英語力を伸ばしたい方は「速読速聴・英単語」
速読英単語と速読速聴英単語の比較
両シリーズに共通しているコンセプトは「文章や文脈で学ぶ」です。
会話や英文の中に覚えるべき単語・熟語・フレーズが散りばめられており、単語の丸暗記ではなく、文脈の中で意味や使い方を学びます。
それに加え、シリーズ最新版の「速読速聴Basic 2400 ver.4」と「速読英単語中学版(改訂版)」からは「CEFR(セファール)」が取り入れられています。
「CEFR」は「"聞く・読む・書く・話す"を基準にした英語の習熟度」を表す国際基準で、より実用的な内容選定となっています。
レベルの比較と対象者の違い
先述のように、大きな違いは対象者です。
まず、速読英単語(以下速単)のレベルは、受験が1つ区切りになっています。
【中学版】
・日常学習~高校入試基礎
【入門編】
・日常学習~共通テスト
【必修編】
・共通テスト~国公立 私立大
【上級編】
・難関国公立 難関私立
【速読英熟語】
・日常学習~中堅大
一方、速読速聴・英単語(以下速読速聴)は、英語力のレベルで別れています。
そのため、「TOEIC何点」や「英検何級」が目安となっています。
【Basic2400】
・TOEIC500点台を目指す方
・英検3級~準2級を目指す方
【Daily1500】
・TOEIC500~700点
・英検2級
【Core1900】
・TOEIC600~800点
・英検2級~準1級
【Advanced 1100】
・TOEIC900点台
・英検1級を目指す方
また、速単の英文は入試問題から取られているのに対し、速読速聴はネイティブの書下ろしです。
他にも速読速聴の特徴として、「Opinion1100」や「Business 1200」、「TOEIC(R) TEST 速読速聴・英単語 STANDARD1800」など、用途・目的別のシリーズが出ています。
こちらは個別で記事を書いているので、詳しくはこちらをご覧ください。
サイズの違い
その他の大きな違いとしてサイズがあります。
何故、速単が小ぶりなのかというと、持ち運ぶ用です。
入門編の概要にはこうあります。
「持ち運びに便利なコンパクトさ」+「長文と全訳を掲載するのに必要な最低限の大きさ」という、2つの相矛盾する条件を満たしうるサイズとして、本書の大きさを選びました。
利用法の一例として、たとえば自宅で重要な語を記憶し、それを学校の空き時間や通学途中を利用して(以下略)
(引用: 速読英単語入門編 p5)
つまり、受験生がバッグに入れやすいサイズであり、ここからも速単は受験生向けと言えます。
高校受験と英語初心者は「速読英単語 中学版」
「速読英単語 中学版」は、速単シリーズの高校入試対応版です。
中学英語の総復習をしつつ、検定教科書や高校入試等を分析して選定された入試に必要な約2300語(派生語含む)を学ぶことが可能です。
また、文法や表現の簡単な解説が載っているため、英語初心者の方でも学びやすくなっています。
ちなみに、入門編からは、取り外しができる別冊の文法解説書が付いています。
「速読速聴・英単語 Basic2400」は受験後を見据えた作り
速読速聴シリーズの初級編は「Basic2400」です。
しかし、こちらは文法的な解説がほぼありません。
また、先述の「CEFR」が取り入れられたことにより、 前の版(ver.3)よりも難易度が少し上がっています。
よって、本文の難易度は「速単 中学版」よりも難しくなっています。
よって、ガチガチの初心者の場合は「速読英単語 中学版」から始める方が良いです。
他にも、対象が「TOEIC500未満で500台を目指す方や、英検3級~準2級を目指す方」も含まれています。
以上により、速読速聴シリーズは受験対策というよりも、その先を見据えた英単語帳になっています。
大学受験や中級者以上は目標とレベルに合わせる
大学受験を目指している場合、受験寄りの速単の中から、どのレベルの大学を受けたいかによって教材の到達点が変わります。
一方、「より実用的な英語を学びたい」という方は、速読速聴シリーズを選びます。
既に基礎レベルの知識があったり、勉強をやり直したい場合は、Basic2400から始めて段階的に上げていくのがおすすめです。
効果的な勉強法
勉強法は、いずれも共通しています。
・英文を見ずに音声を3回聞く
・1回目:どんな内容(ストーリー)なのかを把握
・2回目:それぞれの単語が聞き取れているかを意識
・3回目:聞き取れていない部分を意識
↓
・英文を見ながら音声を聞き、聞き取れなかった部分や意味が取れなかった部分を確認
↓
・単語や文章の意味を確認する(精読)
↓
・1文ずつ音声を流し、真似して発音する(発音・リズム・音の繋がりの確認)
※難しければスローバージョンの音声も活用する
↓
・全文を自然に音読できるようになるまで繰り返す(ただし完璧は求めない)
↓
・最終的には音声を聞き、全文の意味が理解できたら次へ
もちろん、単語の意味を覚えるのは前提です。
それ以外で重要なのは「実際の音を意識した音読」です。
特にカタカナ英語やカタカナ発音は英語学習における敵なので、そこを矯正する目的もあります。
英語の正しい音を知ることにより、リスニング能力を上げることができます。
「実際にどのように発音されているか」を知らなければ、そもそも聞き取れないからです。
暗記する際はカタマリごと覚える
単語の意味だけを暗記するのではなく、1つのカタマリごと覚えます。
例えば、「recognize」を覚えたい時。
「recognize = 認識する」と覚えるのではなく、「I didn't recognize you.」など、カタマリを頭に入れます。
それにより、「これ自動詞だっけ?他動詞だっけ?」や「この前置詞って何だっけ?」となる曖昧さを防ぐことができ、文章としての流れで頭に残ります。
だからこそ、両シリーズの「文章や文脈で学ぶ」というコンセプトが活きてきます。
スピーキングを鍛える場合
単語を覚えるためではなく、スピーキング練習用のテキストとして活用したい場合は音とフレーズを意識します。
・音声を聞く
↓
・テキストを見ながら音声と同時に音読
↓
・音声の真似ができるようになるまで繰り返す
↓
・単語の使い方や文法を意識しつつ日本語訳から英訳してみる
↓
・使えそうなフレーズや言い回しを使ってオリジナルの英文を作ってみる
発音はもちろん言わずもがな、英語のリズムも非常に重要です。
文章の中の強弱や単語のアクセントなどから生まれるリズムを意識しながら、音声の真似をして音読します。
こちらも難しければスローバージョンの音声も活用します。
英訳とオリジナル英文を発音する
また、日本語訳をヒントに英訳してみます。
その際、会話で使えそうなフレーズや英語での言い方をチェックします。
記憶を定着させるために、それらを改変したオリジナルの英文を作るのもオススメです。
そして、それを実際の会話で使っているかのように口に出す練習をし、語彙に吸収していきます。
まとめ
・受験を控えている方や、基礎を固めたい方は「速読英単語」
・英語学習のやり直しや、受験英語の先に行きたい方は「速読速聴・英単語」
大まかに分けるとこうなります。
あとは自分のレベルに合わせるのと、どこに英語学習の目標を置くかによって変わってきます。
速読速聴シリーズに関しては個別に記事を書いているので、より詳しくは「速読速聴・英単語シリーズの使い方と勉強法|解説とレベル比較【万能英単語帳】」の記事もご覧ください
速単シリーズは全5冊出ています。
Amazonの商品ページで内容のサンプルが見れるので、そちらも参考にしてみて下さい。