red herring の意味と使い方
「herring」は魚の「ニシン」のことで、「red herring」とは「ニシンの燻製」を意味します。
ニシンを塩漬けにすると、赤くなるので「red」が使われています。
そして、これには「人の気をそらすもの / 注意をそらすもの」や「おとり」という意味もあります。
日本語では「燻製ニシンの虚偽」と訳されています。
燻製ニシンの虚偽の例
例を上げると、マジシャンが観客の注意をそらすような動きをしたり、推理小説でわざと読者がミスリードするよう仕掛けたりなどです。
ジャーナリズムおいては「本題から目をそらすための偽情報」や「本題からかけ離れた情報」の意味で使われます。
いずれも重要なポイントや本質から離れているイメージです。
red herring の例文
Cambridge Dictionary にはこのような例文が載っています。
The police investigated many clues, but they were all red herrings.
(引用:Cambridge Dictionary)
「警察は多くの手掛かりを調査したが、それらは全て "red herrings" だった」
つまり、事件解決に導くような手掛かりではなかったことを意味しています。
red herring の由来
「red herring」の由来は、ウィリアム・コベットというイギリス人ジャーナリストが19世紀初頭に書いた記事にあります。
Wikipedia にはこう書かれています。
この慣用表現はジャーナリストのウィリアム・コベットが、自身が創設した週刊新聞 Weekly Political Register 紙に、1807年2月14日に発表した記事に由来するものと思われる。
(ナポレオン率いるフランス軍が苦戦の末、辛勝したアイラウの戦いについて)ナポレオンの敗北を誤報したイギリスの新聞を批判する記事の中でコベットは「かつてウサギを追う犬の気を逸らそうと、燻製ニシンを使ってみたことがある」という話を持ち出した上で、「政治的な燻製ニシンの効果は、ほんの一瞬のものでしかない。
土曜には、その臭いも石のようにさめきってしまった」と記している。
その他の有名な語源の説として、
・犬にニシンの燻製の強いにおいを嗅がせることで、においに惑わされることなく狙っている獲物を追えるようにするための狩猟訓練
・脱獄した囚人が追って来る犬に臭いのする魚を投げて注意をそらそうとした
などがあります。
しかし、Wikipedia には、
イギリスの語源研究家マイケル・キニオンは、「この話は(コベットによって)1833年にも繰り返し使われ、それは『赤いニシン』の比喩的含意を読者に意識させるのに十分であったが、不幸なことに、それが実際の狩猟者がやっていることに由来するのだという誤解も生んでしまった」と述べている。
とあります。
いずれにしても語源的には古めですが、海外の犯罪ドキュメンタリー番組を見ていると、たまに出てくる表現です。
また、ドラマ『名探偵ポワロ』にも出てきました。