to不定詞の意味上の主語の役割
to不定詞の意味上の主語は、「to不定詞の行い手が誰なのか」を明確にする働きがあります。
It's impossible to solve the problem.
→その問題を解くことは不可能です。
この文は「誰が」と示されていないので、「一般の人は」や「一般的に」と解釈されます。
この文に意味上の主語を入れたのがこちらです。
It's impossible for me to solve the problem.
→その問題は私が解くのは不可能です。
→私はその問題を解けない。
to不定詞の前に「for me」を入れることで、「その問題を解くのが難しいのは誰か」を明確にすることができます。
この文を語順通りに訳すと「それは不可能だ、私にとって、その問題を解くことは」となります。
もう1つ例文を見てみます。
This book is easy for little children to understand.
→この本は小さな子供でも理解しやすいです。
to不定詞の意味上の主語は「for little children」です。
よって、「小さな子供たちにとって理解しやすい」となります。
これが「This book is easy to understand.」なら「この本は(一般的に内容が)理解しやすいです」になります。
主語と行い手が違う文に注意
She's waiting for you to ask her out.
→彼女はあなたがデートに誘うのを待っています。
(引用: ALL IN ONE Basic p222)
意味上の主語は「for you」です。
そこから、「彼女は "あなたがデートに誘うこと" を待っている」となります。
「for 人」は、to以下の文の行い手を指します。
上記の例文では、デートに誘うのは「you」です。
そのため、「ask her out(彼女をデートに誘う)」という文になっています。
次の例文も同様です。
Uncle Ted arranged for Meg to show us around London.
→Ted おじさんは、Meg が我々にロンドンを案内するよう手配してくれた。
(引用: ALL IN ONE Basic p223)
意味上の主語は「for Meg」なので、to以下の行い手は Meg になります。
よって、「to show us around London(私たちをロンドン案内してくれる)」のは Meg です。
Ted おじさんがやったことは「Meg が(私たちを)ロンドン案内するよう手配した」ことです。
too to構文でも使われる
「too A to B」は「BするにはAすぎる」や「AすぎてBできない」という有名な構文です。
It's too hot to play outdoors.
→外で遊ぶには暑すぎる。
→暑すぎて外で遊べない。
この文にto不定詞の意味上の主語を入れるとこうなります。
It's too hot for children to play outdoors.
→子供たちにとって外で遊ぶには暑すぎる。
構造的には同じで、「to play outdoors(外で遊ぶこと)」をするのは「子供たち」です。
語順通りに訳すと「暑すぎる、子供たちにとって、外で遊ぶのは」となります。
何故「for」が使われるのか
前置詞「for」の基本イメージは「~の方に向かって」です。
「for children to play outdoors」なら「外で遊ぶという行為が子供たちの方を向いている」ようなイメージです。
そこから、「~にとって」や「~が」という意味に繋がります。
「of 人」の形になるとき
意味上の主語が「of 人」の形になる場合があります。
文法的には「It is 形容詞 of 人 to do」の形で、意味は「~するとは(人)は(形容詞)だ」になります。
It's careless of you to forget to lock the door.
→ドアの鍵を閉め忘れるなんてあなたは不注意だ。
語順通りに訳すと「不注意だ、あなたは、ドアの鍵を閉め忘れるなんて」になります。
鍵を閉め忘れた(to forget to lock the door)のは「you」です。
そして、この文では「for 人」の代わりに「of 人」になっています。
「of 人」は、人の評価や判断をする時に使われます。
また、「careless of you(あなたは不注意)」は「you = careless」と考えることができます。
次の文も同じです。
It's kind of you to let me know.
→教えてくれるなんてあなたは親切です。
→教えてくれてありがとうございます。
この文も「あなたは親切(you = kind)」と考えることができます。
「of 人」の形になる単語はある程度決まっているため、沢山英語に触れることで何となく理解できるようになっていきます。
例文
It is hard for me to learn how to play the piano.
→私にとってピアノを学ぶのは難しい。
It is important for him to read many books.
→彼にとって沢山の本を読むことは重要です。
That's easy for you to say.
→あなたにとっては言うのは簡単だよ。
Kyoto is a good place for foreign tourists to visit.
→京都は外国人観光客が訪れるには良い場所です。
It's dangerous for children to play here.
→子供たちがここで遊ぶのは危険です。
There is no reason for you to apologize.
→あなたが謝る理由はありません。
The coffee is too hot for me to drink.
→私にとってそのコーヒーは熱くて飲めない。
This bag is too heavy for me to carry.
→このバッグは私が運ぶのには重すぎる。
It is considerate of you to drop in.
→立ち寄ってくれるなんてあなたは思いやりがあります。
→立ち寄ってくれてありがとうございます。
まとめ
・「to不定詞の意味上の主語」は、to不定詞の前に「for 人」を置く
・「for 人」を置くことで、「to不定詞の行い手が誰なのか」を明確にする働きをする
・「for 人」は「to以下の文を誰が行うのか」を指す
・「人の評価や判断をする時は「of 人」になる
・「careless of you」なら「careless = you」と結ぶことができる
動名詞の意味上の主語については、こちらの記事をご覧ください。
・動名詞の意味上の主語を分かりやすく解説|動名詞の使い方と応用