「once」の3つの意味と品詞
副詞「once」には「一度」と「かつて」の2つの意味があります。
もう1つは「いったん~すると」や「~するとすぐに」という意味ですが、こちらの品詞は接続詞です。
それらの意味の見分け方の1つには「置かれる場所」があります。
そのようなややこしい「once」の使い方と違いを例文と共に見ていきます。
「一度」を意味する「once」
「once」が現在完了形と共に使われると、「一回したことがある」という回数を表します。
そして、この意味で使われる場合は、基本的に文末に置かれます。
I've been to the UK once.
一度イギリスに行ったことがあります。
I've met him once.
彼に一度会ったことがあります。
I’ve only been to Paris once.
パリには一度だけ行ったことがあります。
完全な文末とは限らない
「文末」とは、1つの文の最後とは限りません。
You said once that you wanted to learn English.
あなたは一度、英語を学びたいと言った。
この文は「You said once(あなたは一度言った)」と「that you wanted to learn English(英語を学びたいということを)」に分けられます。
そして、何を一度したのかというと「言った」ことです。
よって、「You said once」となります。
このように節などが続く場合、意味の区切りの終わりに置かれる点に注意が必要です。
「かつて」を意味する「once」
日本語で言う「かつて~だった」の「かつて」で、言い換えると「昔」や「以前」になります。
この意味で使われる時は文中(または文頭)に置かれます。
副詞を文中に置く場合、否定文にした時に「not(否定語)」が入る位置が1つの目安です。
She was once a famous singer.
彼女はかつて有名な歌手でした。
※否定文は「She was not a famous singer.」なので「She was once a famous singer.」
That's because the hotel was once a nursing home!
なぜなら、このホテルはかつて老人ホームだったからです!
(引用:速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.4 p298)
I once had an experience which I have never forgotten.
私はかつて、今まで決して忘れたことのない経験をした。
(引用:速読英単語 必修編[改訂第7版] p26)
※否定文は「I didn't have an experience」なので「I once had an experience」
「You once said +that節」の意味
先ほどの例文を「You once said +that節」の語順にすると、「あなたはかつて~と言った」になります。
You once said that you wanted to learn English.
あなたはかつて英語を学びたいと言った。
You said once that you wanted to learn English.
あなたは一度、英語を学びたいと言った。
映画『オールド・ガード2』の例文
She's not the same person that I once knew.
彼女は変わってしまった(日本語字幕)
直訳だと「彼女はかつて私が知っていた人と同じ人ではない」になります。
接続詞「once」の使い方
接続詞「once」の意味は「いったん~すると」や「1度~すれば」で、文頭に置かれます。
「once」が付いている文は未来のことでも現在形で表します。
Once you get the hang of it, it's pretty easy.
いったんコツを掴んでしまえば、かなり楽だよ。
Once you have learned, you never forget.
いったん覚えれば決して忘れませんよ。
(引用:ウィズダム英和辞典 第4版)
You've got to keep up with it. Once you fall behind, it's hard to catch up.
遅れずについていかなくちゃ。一度遅れをとったら追い付くのは大変だよ。
(引用:DUO3.0 例文262)
ドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』の例文
Once you've ruled out the impossible, whatever remains, however improbable, must be true.
(引用:ドラマ『Sherlock』シーズン2 エピソード2)
「いったん不可能なものを取り除いたら、何が残ろうと、どんなにありそうにないものでも、それが真実に違いない」
これはイギリスのドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』のシャーロック・ホームズのセリフですが、同じような文言が原作でも何度か登場します。
FF9の例文
Once you accept everything, the answer will appear before you.
「いったん全てを受け入れたら、答えはあなたの前に現れるだろう」
映画『アクアマン』の例文
Once he is named Ocean Master, it'll be too late.
オームが覇王になったら何もかも手遅れよ(日本語字幕)
(引用:映画『アクアマン』)
直訳だと「彼がオーシャンマスターに任命されてしまったら、手遅れになってしまうだろう」となります。
「~するとすぐに」の「once」
接続詞「once」には「~するとすぐに」という意味もあります。
この場合は「SV once SV」の形でもよく使われます。
日本語的には「~したら」と訳した方が自然になる場合も多いです。
Once you finish your work, please rest and relax.
仕事が終わったらすぐに休んでリラックスしてください。
仕事が終わったら、休んでリラックスしてください。
Your house will warm up once you close the windows.
あなたの家は窓を閉めると暖かくなります。
窓を閉めるとすぐに暖かくなります。
What will she do once she learns the truth?
彼女が真実を知ったらどうするだろう?
意味的には「as soon as」に近いですが、「as soon as」の方が「~するとすぐに」という即時性のニュアンスが強くなります。
まとめ
・副詞「once(一度)」は文末に置かれる
・文によっては意味の区切り(節など)の末尾に置かれる点に注意
・副詞「once(かつて)」は文中または文頭に置かれる
・副詞が文中に置かれる時は「not(否定語)の位置」が1つの目安
・接続詞「once」の意味は「いったん~すると」や「1度~すると」
・「Once SV, SV」の形で「いったん~すると、~だ」の文章パターンが多い
・「~するとすぐに」の意味では「SV once SV」の形もよく使われる
・日本語的には「~したら」と訳すと自然になることが多い
・接続詞「once」の文(節)は未来のことでも現在形で表す